第4話 自由発言と忍び寄る影
今から思いだすと、このクラスは実におもしろい。多種多様な人格が全てそろっていた。
俺は消極的でしゃべれない。天才的な通知票オール5のクラス委員、努力の女副委員長、親切すぎて墓穴を掘るやつ、おしゃべりと笑わせることにかけては天下一品、やたら正義感だけが強くあくまでも戦うやつ、人を守るために常に仲裁するやつ、点で頭は悪いけどスポーツ万能、人と喋れないのに絵を描かせば県知事賞、喧嘩に関してはお任せ野郎。
何でも屋のオールマイティは天才クラス委員長だけ、後はバラバラ、しかしこのバランスが妙にいい感じだったのかもしれない。
俺は暗くて何もできない人間だった訳でもない。性格は暗くても恥ずかしながら習字と字がうまく、文章能力がたけていて、本の前書きだけで読書感想文は入選する人間であった。
でも取り柄はこれだけで人が怖く、勇気もなく人前でしゃべれないもてないタイプの人間だ。餅は餅屋、バラバラ自己主張クラスの中で始まった恐るべき事態とは、女秀才副委員長の発言からだった。
努力女委員長:「先生は、やす君の特別ルールをいつまで続ける気ですか?」
正義感人間 :「ちょっと待った。やすが前より楽しいといってんだから何でやめんだよ。そんなもん永遠だわ。」
努力女委員長:「それは分かるけどそんなの不平等じゃん。」
正義感人間 :「それは不平等とは違うだろう。」
喧嘩野郎 :「喧嘩するなら二人でトイレでしろよ。」
仲裁人間 :「まあまあ喧嘩せずにみんなで楽しく話し合おうよ。」
こんなやりとりだった。また俺は下を向いたまま顔が上げられなくなった。しかし俺は先生が守ってくれると心の中では願っていた。ところがである予想に反してまたまた情熱的な先生は講釈を並べ立てみんなにとって一番平等な発言をしてきたのだ。
先生 :「みんなの言いたいのはよく分かった。意見を主張する人間も守るやつも仲裁するやつもみんな正しい。トイレで喧嘩しろ以外はだけどな。」(クラス全体で笑う)
先生 :「先生はこう思う。初めは特別ルールだった。これはやすなりの気持ちを考えてのことだ。この時点では特別ルールもみんな賛同してくれた。この時点では正しかった方法だと思う。彼女も賛成した。しかし今の段階でみんながやすを理解して彼が前より楽しくなったんなら大きな問題は解決したからいつまでも特別ルールでもいいの?と言う提案だ。確かにこんなことばっかしてたらクラスの中は特別ルールだらけになるな。みんなどう思う。」
俺の気持ち :(きやがった。きた−きた−。いつかこうなるような予感はしてたけどついにきた−。)
正義感人間 :「こんなもんおかしい。平等と不平等の話になっちまう。やすはハンディあるんだからすでに不平等を背負ってるんだ。だから特別ルールーは不平等じゃない。」
努力女委員長:「私だって今のやり方がいけないとかやす君の気持ちを無視してる訳じゃない。クラスが変わったり中学、高校になっったらどうすんの?」
俺の気持ち :(こいつら恐ろしいやつらだ。これが小学生の発言か?中学・高校でもこんなに自由に発言できんぞ。クラスをこんなにした先生はすごいや。それぞれの発言は確かに正しい。しかし今の俺に答える能力はないぞ。なんてやつらだ。もう俺のことでもめないでくれ)祈るような気持ちだった。
つづく
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